ホルモン検査の結果 Ep.11

排卵誘発とタイミング法を試している期間に、いくつかの婦人科検査を行いました。高プロラクチン血症の薬剤治療の経過や抗精子抗体の影響を評価することが目的です。

【この記事から分かること】
・頸管粘液検査
・薬剤治療とホルモン検査

今回の月経周期では、前記事で書いたようにタイミング法による治療を行いました。排卵誘発も実施していましたが、同時に、様々な検査も行いました。実施した検査の目的は、高プロラクチン血症に対するブロモクリプチンの効果確認と、抗精子抗体の別の検査をすることです。

頸管粘液検査

顕微鏡

 

ここで言う頸管粘液検査は、頸管粘液と精液の接触試験も含めて考えます。

この検査により、粘液の分泌異常や無精子症、抗精子抗体の有無や影響などの情報を得ることができます。検査の種類を大別すると3つに分けることができます。

 

  • 一般検査: 量、粘稠度、色調、塗抹乾燥標本による顕微鏡検査

 

 

  • in vivo試験: 性交後9〜24時間後に採取した頸管粘液を採取して観察

例)Huhner(フーナー) test

 

 

  • in vitro試験: 精液注入前の頸管粘液と精子をスライドガラス上で接触させ観察

例)Miller-Korzrock test

 

 

 

 

今回、実施したのは上記1番目の頸管粘液一般検査です。

検査内容は、粘液の量、粘稠度(牽糸性)、色調、塗抹乾燥標本による顕微鏡検査です。特に明確な基準はないみたいですが、主に確認されている点は以下の内容みたいです。一般的に頸管粘液は、排卵数日前から以下の特徴を示すみたいです。

  • 粘液量の増量 0.3~0.4ml
  • 粘稠性が低く水様透明、牽糸性15cm以上
  • 弱アルカリ性 pH7.0~8.5
  • 羊歯状結晶の形成が顕著

 

 

最も重要なポイントは、排卵前の頸管粘液量が増加しているか否かです。頸管粘液には、精子が子宮に侵入する動きをサポートする役割があります。分泌量が少ないと、精子の動きが悪くなり、卵にたどり着く精子の数が減ってしまい、妊娠確率が下がります。

排卵誘発剤には、クロミフェンのように頸管粘液の分泌量を減らす副作用がある薬もあるので、注意が必要です。頸管粘液の分泌に何らかの異常があると、人工授精を選択する必要がでてきます。

 

 

 

 

前述2番目のフーナーテストについては、過去の記事を参照ください。

 

 

 

前述3番目のMiller-Korzrock testについては、あまり実施されていないため情報が少ないのですが、調べた限り以下の参考文献に示す内容の検査です。詳しく知りたい方は、以下のリンクをご活用ください。

Miller-Korzrock test

 

女性ホルモン検査

黄体期のホルモン

 

ホルモンの作用や種類については、過去の記事で詳しくまとめたので、そちらをご覧ください。

 

 

 

 

排卵が起こっているか否かを確認するため、女性ホルモンの分泌量を測定しました。一般的に、排卵前は卵巣からエストロゲンが多く分泌されており、排卵後は黄体からプロゲステロンが多く分泌されている状態になります。

 

 

仮に、排卵後のプロゲステロン値が低ければ、排卵異常を疑うことができます。なぜならば、プロゲステロンは、黄体から分泌されるからです。

月経とホルモンの関係

 

 

 

一般的に言われている基準値は以下の通りです。(女性)

エストロゲン(E2) [pg/ml]プロゲステロン  [ng/ml]
卵胞期25〜1000.1〜1.5
排卵期150〜450-
黄体期70〜2202.5〜28

 

 

実際の検査結果

検査

 

今回、検査したタイミングと状況を整理しておきます。

  • 今回の月経周期では、セキソビットで排卵誘発
  • ブロモクリプチンを服用している
  • クリニックを受診しつつ、排卵のタイミングを図った
  • ホルモン検査は、排卵後1週間の時点で測定(黄体期)

 

 

検査結果

 

  • 頸管粘液一般検査 : 異常なし
  • エストロゲン : 180 pg/ml
  • プロゲステロン: 13 ng/ml

 

 

 

結論として、頸管粘液の性状に異常はなく、エストロゲン値もプロゲステロン値も、基準値の範囲内でした。今回の周期で妊娠には至りませんでしたが、ホルモン分泌と頸管粘液に異常は認められなかったので、不妊の原因は、やはり、”高プロラクチン血症”と”抗精子抗体”で間違いなさそうです。

 

 

私たちの不妊の原因の一つである”高プロラクチン血症”は、無月経や排卵障害、着床障害の原因となるので、薬剤による治療を進めています。それとは別に今回の周期では薬剤に対する感受性を確認する目的で、排卵誘発剤を使用しました。卵胞の発育と排卵が正常に起こったことを確認できましたので、これは今後の治療方針の参考になります。

 

 

私たちの不妊症のもう一つの原因である”抗精子抗体”については、抗体価検査やフーナー試験の結果から、その存在が強く認められ、自然妊娠が難しいほどに強力な免疫を発揮していることがわかりました。これにより、不妊治療の第一選択が”体外受精”であることが決まっています。

 

 

 

今回掛かった費用

 

今回の受診で掛かった大まかな医療費は以下の通りでした。

検査は複数回行っているので合計を示します。

保険適用:       3,980円
保険非適用(自費):     1,650円
合計:            5,630円

 

まとめと今後の流れ

今後

 

今回の各種検査結果から、上記2点の原因以外に不妊の原因と考えられる要素は見つからなかったので、以下の治療方針を再確認する結果となりました。

 

  • 高プロラクチン血症: ブロモクリプチンの服用継続
  • 抗精子抗体(strong): 体外受精

 

いよいよ、次の月経周期から体外受精に向けた準備が始まることになります。結果として、タイミング法や人工授精などの治療ステップを省略する形になったので、私たち夫婦としては思ったより早く治療が進んでいる印象です。

 

次の記事は、体外受精の準備の流れなどを紹介できるかと思います。

以上

time to say goodbye



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