【妊娠と食事】トキソプラズマ症(感染、動物、食品、予防)

妊婦が、トキソプラズマに感染する恐れのある食品を避けなければならないのをご存知ですか?あまり馴染みのない名前かもしれませんが、意外と身近に潜んでいます。普通の人にとっては問題ないのですが、妊婦が感染すると胎児に悪影響を及ぼす危険性が高いものです。この記事では、どこにトキソプラズマ感染の危険が潜んでいるのか、どのような悪影響があるのかについて紹介します。妊婦の方や、家族に妊婦がいる方は、特に最後まで読んでください。

 

記事の内容の一部は国立感染症研究所ホームページの情報を参考にまとめています。

原虫とは

原虫は、ゾウリムシやアメーバ等の単細胞の微生物のことで、運動能力や捕食能力を持ちます。あの原虫は人や動物に寄生して重い病気を引き起こします。これらに対しては一般的に、有効で安全なワクチンや治療薬がほとんどないのが特徴です。

 例1)ヒトにしか寄生できない宿主特異性の強い種類(マラリア原虫やイソスポーラなど)

 例2)ほかの複数の動物種にも寄生し、人畜共通感染症を起す種類(赤痢アメーバやクリプトスポリジウムなど)

 

いくつかの感染型が知られており、以下の物がヒトの体内に取り込まれて感染します。

  • シスト: 嚢子(のうし)とも言われる休眠状態のサナギのような形態(赤痢アメーバやランブル鞭毛虫など)
  • オーシスト: 接合子嚢(せつごうしのう)とも言割れる卵のような形態(トキソプラズマ、コクシジウム類)
  • 胞子: (微胞子虫類

トキソプラズマとは

トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)とは、幅3 µm、長さ5-7 µmの半円〜三日月形をした原虫(単細胞生物)で、ネコ科の動物を終宿主とする細胞内寄生原虫です。
トキソプラズマ
トキソプラズマ(図:NIID)
中間宿主としてヒト、ブタ、ネズミなど200種類以上の哺乳類・鳥類に感染し、ネコを終宿主としています。ヒトへは主に経口で感染し、ヒトからヒトへの感染はありません。
成虫はネコ科動物の小腸に寄生しています。直径12μmほどのオーシストがネコのフンと共に排出され、それを口にした哺乳類や鳥類が感染します。
ヒトが感染した場合、健常な成人では8割は無症状で2割にリンパ節腫脹、発熱、筋肉痛、疲労感などの症状が出るが数週間で回復し、慢性感染に移行する( 無症状 )。免疫力が落ちている場合、体内で急速にトキソプラズマが増殖してさまざまな臓器に感染するため、症状が重くなり命を落とすことがあります。

普通の成人トキソプラズマに感染すると

《後天性トキソプラズマ症》
健康成人または小児が後天的にトキソプラズマに感染した場合、多くは無症状です。発症した場合、発熱や倦怠感やリンパ節腫脹などの一過性の症状が起こり、時に伝染性単核症様の病態を呈します。

因みに、ヒトと同じく中間宿主とされているネズミがトキソプラズマに感染すると、無気力になり、反応が鈍くなると言われています。ふつうのネズミはネコのにおいを感じると逃げますが、トキソプラズマに感染したネズミはネコのにおいを怖がるどころか、むしろ引き寄せられるようになり、ネコに食べられやすくなります。ヒトも、もしかしたら…

妊婦トキソプラズマに感染すると

妊娠初期に感染すると死産・流産・児に重い障害がでることもある。

妊娠中期以降では、母親は無症状でも胎児に感染して、脈絡網膜炎、中枢神経系障害、肺炎、心筋炎、水頭症、精神障害、運動障害などの病気を起こす可能性があります。

 

トキソプラズマに感染しやすい環境

トキソプラズマ原虫は、終宿主であるネコの消化管でしか繁殖(有性生殖)することができず、猫がトキソプラズマに感染していれば、そのネコの糞便に存在するオーシスト(卵)がヒトの口に入り、感染する可能性があります。例えば、家ネコのトイレ掃除などは気をつけなければなりません。可能ならば、妊婦はネコのトイレの掃除は避け、それ以外のヒトでもネコのフンを片付けた後には石鹸を使ってよく手を洗うことが大切です。

トキソプラズマを含む恐れがある食品

トキソプラズマは、食品を経由して感染する可能性もあります。それは、食品でもあり、中間宿主でもあるブタなどの哺乳類や鳥類の肉を加工したものや、あまり洗っていない野菜です。
具体的には、以下のような食品が挙げられます。
トキソプラズマに感染する恐れのある食品の例
よく洗っていない果物や野菜、生ハム、ローストビーフ、レアステーキ、生サラミ、ユッケ、馬刺し、鳥刺し、加熱が不十分なジビエ料理など

【注意点】

  • 野菜や果物はよく洗うか、皮をむく
  • 包丁・まな板などは生肉等を扱った後に十分に洗浄
  • 豚肉、ラム肉は生や半生では食べない
  • ネコを飼育している方は要注意
  • 川の水や井戸水などの生水は飲まない
  • 疑われる原因から2週間~1ヶ月経過するまで検査できない

 

 

まとめ

トキソプラズマは単細胞の微生物で、妊婦が感染すると、流産や胎児の健康に大きな影響を与えてしまう可能性があります。トキソプラズマは、身の回りの至る所に感染源となるものが存在します。特にネコを飼っている方にとっては、ネコ自身やネコトイレ、居住環境全体が感染のリスクを高めてしまうものになります。また、ブタやラムなどの生肉からも感染する可能性があるので、妊婦は特に注意する必要があります。

 

トキソ



ブログランキング・にほんブログ村へ

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事