
月経周期には卵胞期や排卵期、黄体期と呼ばれる時期があり、ホルモンの作用によって様々な生理現象が誘発されます。本記事では、月経周期そのものに焦点を当てて、月経周期内の各時期のホルモン分泌、ホルモンバランスについて解説していきます。
"月経周期と妊娠の関係"や"ホルモンそのもの"については、別の記事で解説しているので、そちらを参照ください。
1月経周期の全体像
一般的に、正常な月経周期の日数は25〜38日と言われています。
1周期の中身を詳しくみてみると、卵胞期、排卵期、黄体期、月経期の4つの時期に分類できます。それぞれの時期については、下の図に簡単にまとめました。
各時期のホルモンの分泌量、基礎体温の推移をまとめると、次にようになります、
2月経に関わる身体の部位・名称
解説の過程で何度が使用する身体部位の名称をここで示しておきます。また、各部位から分泌されるホルモンが、”脳から卵巣へ”、又は、”卵巣から脳へ”、何らかの情報を伝えていることを簡潔に示しました。
3卵胞期
前の周期の月経が終わると卵胞期に移ります。
卵胞期とは

卵胞期の女性の身体の中では、次のような事が起こります。
- (1)視床下部からGnRHが分泌される
- (2)GnRHが下垂体を刺激
- (3)下垂体からゴナドトロピン(FSHとLH)が分泌される
- (4)FSHの生理作用により、卵巣で卵胞が発育
- (5)発育した卵胞からエストロゲンなどが分泌される
- (6)エストロゲンにより子宮内膜が増殖・肥厚し、受精に備える
4排卵前
排卵前の女性の身体の中では、次のような事が起こります。
- (7)卵胞から分泌されるエストロゲン量が増え、下垂体を刺激する
- (8)下垂体からLHの分泌量が急増する(LHサージ)
- (9)LHが卵巣に作用し、卵胞から卵子の排卵を促す

5排卵期
排卵期とは
時期: 通常は、生理予定日の14日前頃
詳細: LHサージのシグナルを受け取った卵胞が、タンパク質分解酵素を出して卵胞表面の一部を分解し、そこから卵子卵丘複合体を放出する。
排卵前の女性の身体の中では、次のような事が起こります。
- (10)卵胞の壁が破れて、卵子が卵巣の外に飛び出す
- (11)排卵後の卵胞は”黄体”へと変化する

6黄体期
黄体期とは

分泌: プロゲステロンを多く分泌する。
特徴: 子宮内膜を厚くし、受精卵が着床しやすい環境を整える。
黄体期の女性の身体の中では、次のような事が起こります。
- (12)黄体からプロゲステロンの分泌が増える
- (13)プロゲステロンが脳の体温中枢に作用する
- (14)基礎体温が上がる
- (15)プロゲステロンが子宮内膜をさらに厚くさせる(分泌期)

7月経期
月経期とは
特徴: (妊娠が成立しなかったとき、)
生理の終盤になると、エストロゲンの分泌量が増える。
月経期の女性の身体の中では、次のような事が起こります。
- (16)黄体が萎縮する
- (17)プロゲステロンの分泌が減る
- (18)プロゲステロンによる体温中枢への作用が消退
- (19)基礎体温が低下
- (20)子宮内膜が剥がれ落ち排出(出血)

8さいごに
月経周期におけるホルモンの分泌と各種役割についてまとめて紹介しました。
不妊治療を進めている方にとっては、今の治療方法や飲んでいる薬が月経周期内のどの工程に影響するものなのかを理解するのに役立つと思います。
少し難解であっても、自分の身体に起こっている現象を知ることは、妊活をする上で重要だと思いますので、この機会に他の記事と合わせて勉強してみてください。