
妊娠をのぞむ場合は、いつ交渉を持つかは、妊娠する確率を高める最も重要なファクターです。それを知るためには、月経周期や排卵、基礎体温について最低限の知識が必要です。本記事では妊娠をのぞむ方々にとって、最低限必要と思われる内容をまとめます。
1用語の意味
よく耳にする言葉の意味を確認しておきます。
意味
- "月経": 周期的に子宮内膜の層が剥離・脱落する際に生じる出血のこと。(医学用語)
- "生理": 一般的な単語の意味は、「生物が生きているために起こる様々な現象・機能のこと」を指します。例えば、「あくび」などです。生理現象である月経のことを指して、"生理"と呼ぶことが一般化しています。
- "内分泌": 生体内の内分泌腺で作られたホルモンを血管中に流すこと。(詳細はこちら)
- ホルモン: 内分泌腺で作られる物質で、微量で生体機能に著しい作用を及ぼす物質のこと。
2月経周期
月経周期は、月経初日を1日目として、次の月経の前日までの日数を1周期とします。
一般に、1周期が25〜38日が正常な範囲です。
この1周期は大きく分けると4つの期間に分類できます。それが、月経期、卵胞期、排卵期、黄体期です。
3月経周期の変化

4妊娠を望む場合のタイミングは、いつ?
一般的に、いつ交渉をもつことが、最も妊娠しやすい"タイミング"なのでしょうか。
最も妊娠しやすい日
以下に挙げる理由から、排卵日の3日前〜排卵日の間に、数回の交渉を持つことが最適解だと言えます。
- 卵子の受精可能時間は、排卵後約12時間前後
- 排卵後は、頸管粘液が減少し精子の動きが悪くなる
- 精子は排卵前に卵管に到達している方がベター
- 精子の女性の体内での受精可能時間は24〜48時間
しかしながら、実際問題として難しいのは、”排卵日の3日前を特定すること”です。
例えば、基礎体温計測は排卵日を"事後的"に知ることができるものあり、排卵日の数日前を知らせるものではありません。もちろん、何ヶ月・何年も、基礎体温計測を継続していて、毎周期の排卵日のパターンを掴んでいる場合は、高い確率で"推測"できるので問題ありません。
より具体的に排卵日の3日前を特定するには、正しい知識が必要です。ここからは、排卵について、深く解説していきます。
5排卵の起こり方
既に述べた通り、妊娠する確率を上げたいなら、排卵日の3日前〜排卵日に交渉を持つことが重要となってきます。
そもそも"排卵とは何か”、”どうやって起こるのか”を解説していきます。
排卵とは
図で簡潔に表すと以下のような感じです。
卵子が卵巣から排出され、卵管に移動した後、精子と受精が可能になります。
この”卵子の排出”は、ホルモンの作用で起こります。主に関与するホルモンは、”LH”と”FSH”の上昇です。特にLHは排卵前に急増します。この急増を”LHサージ”と呼びます。
LHサージが起こってから排卵が起きますが、その時間差は以下の通りです。
- LHサージのピークから排卵まで: 10〜12時間
- LHサージの開始点から排卵まで: 34〜36時間
6LHサージの測定
排卵日の特定方法はいくつかありますが、その中でもLHサージを目安とする方法は、利用のし易さの観点からおすすめです。
LHサージは、市販の検査薬を使用して、自宅で簡単に検査できます。検査の特徴は以下の通りです。
- 尿を振りかけるだけ
- 数分で結果が得られる
- 結果が見やすい
- 検査結果の変化を見逃さないため、数日間連続して測定する必要がある
- 排卵予定日の3日以上前から検査をスタートする必要があるので、基礎体温などからおおよその排卵予定日を推測しておく必要がある
- LHは血中に放出されるものであるから、尿中LHの濃度上昇は、実際の血中LHの濃度上昇に対して数時間は遅延する
7まとめ
- 月経周期には、ホルモンが重要な役割を果たしている
- 妊娠を望む場合、月経周期の中でも排卵期(排卵日)を知ることが大事
- 排卵日の約1日前に、LHの急激な上昇(LHサージ)があるので、排卵の兆候を知れる
- 排卵検査薬は、このLHサージを検出する試薬
- 検査は簡便だが、排卵予定日を推測するため、日々の基礎体温計測が重要