【妊娠】妊娠プロセス、卵胞の発育から受精そして着床までの流れ
不妊症の原因は様々です。 例えば排卵障害が不妊の原因となっている場合は、ホルモン分泌の不調が影響している場合があります。そもそも、ホルモン分泌が身体の中でどのような作用を引き起こしているかを理解するには、まず、妊娠のプロセスを理解することがあります。そこで、本記事では妊娠プロセスについてまとめます。 不妊治療への理解を深めるための前段階として最低限必要だと感じた内容に絞りました。不妊治療を行っている私たち夫婦にとって有益だと思う部分をまとめましたので、これから不妊治療を始める人にも参考になる内容だと思います。是非最後まで読んでみてください。
 

妊娠プロセス

妊娠に至るまでには、以下のプロセスがあります。
  1. 卵胞の発育
  2. 排卵
  3. 精子の移動
  4. 受精
  5. 胚の分割(発育)
  6. 着床
子宮の各部位の名称

Figure子宮の各部位名称を示す図

以下、各段階のプロセスを簡単に説明します。  
 

①卵胞の発育

卵巣内での卵胞の発育

Figure卵巣部分の拡大図(青色

最初のプロセスは、卵胞らんぽうの発育です。卵胞とは簡潔に言うと、卵子が包み込まれた袋のような組織のことです。卵胞は、卵巣の中にある原始卵胞(約 0.05 mm)が、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の作用で発育し、大きさが増大していきます。最終的に、約20 mm程の成熟卵胞(Graaf)となります。ちなみに、FSHやLHは、脳にある下垂体前葉から出ているホルモンです。
 

②排卵

卵巣から卵子の排卵が起こる時

Figure排卵と卵管膨大部への卵子の移動

①で成熟した卵胞は、卵巣の表面に突出し、卵胞内にある卵子が卵巣から排出されます。このプロセスを排卵と呼び、主に黄体形成ホルモン(LH)が大きく関与しています。この後、卵管采らんかんさいが卵子をキャッチして、卵管膨大部と言う卵管の先の広い部分に運ばれます。自然に排卵される場合は、通常月に1回の排卵のタイミングで1個です。卵子が排出された後の卵胞は、しぼんで黄体に変化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌し始めます。プロゲステロンは、受精卵を育てるための子宮内膜を厚くする役割、つまり「着床」の準備を始めるホルモンです。  
 

③精子の移動

子宮内の精子の移動

Figure精子の移動の様子

精子が射精されると、膣→子宮頸管→卵管へと移動します。頸管を通過する時や卵管を通過する時に、精子の数は、射精された時点から大きく減少し、受精に関われる精子はほんの一部です。女性の膣内は通常、外部からの異物の侵入を防ぐため、酸性の状態が保たれています。排卵が近づくと、精子が子宮に入って行きやすいように、弱アルカリ性の頸管粘液が大量に分泌されます。排卵日近くになっても頸管粘液が十分に分泌されない場合、「頸管粘液不全」と呼ばれる不妊症の一因となってしまいます。 一方、精子は自身を保護する「精漿せいしょう」と呼ばれる弱アルカリ性の液体と共に精液として射精されます。精漿には様々な役割がありますが、ここでは膣内のp H(酸性)に対する緩衝剤として機能します。しかし、精漿は膣内で薄まるので、精子自身の持つエネルギーで膣内、頸管、卵管を進んでいく必要があります。 稀なケースですが、精子の移動を阻害してしまう「抗精子抗体」を持つ人がいます。これは、精子を異物とみなして抗体が体内で産生され、精子を不動化してしまいます。一般的には、不妊症の女性の約3%で抗精子抗体が認められます。また、男性にも存在する場合があります。 抗精子抗体による精子の不動化

Figure抗精子抗体が精子を不動化するイメージ図

抗精子抗体の抗体価(量や強さ)によって、弱陽性と強陽性に分類されますが、この抗体価は変動する場合があります。通常、弱陽性である場合は、タイミング法や人工授精で妊娠が認められるケースもあります。一方、強陽性である場合は、体外受精が有効となります。  
 

④受精

卵子に精子が受精する様子

Figure卵子に精子が受精する様子

③の精子の移動により卵管を通過してきた精子は、卵管膨大部にある卵子を取り囲みます。卵子の周りには透明体と呼ばれるバリアが存在していて、精子はこの透明体を分解(先体反応)しながら突破し、受精が起こります。透明体は、多精子侵入阻止と呼ばれる機構を持ち、これにより一つの精子が卵子内に侵入すると、他の精子が侵入しないようにブロックします。  
 

⑤胚分割

受精卵の細胞分裂と移動

Figure受精卵の細胞分裂と移動

④で無事受精した受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら、卵管膨大部から子宮へ移動します。受精卵の中では、細胞が分割されて1細胞→2細胞→4細胞→8細胞→桑実胚→胚盤胞へと変化します。この変化には受精後5〜7日間掛かります。 胚とは、簡単に言えば、固体発生初期の細胞群のことで、胎盤形成前のものです。  
 

⑥着床

胚盤胞が子宮内膜に着床

Figure胚盤胞が子宮内膜に着床

着床とは、受精卵が胚盤胞になり子宮内膜上皮への接着・侵入する一連の現象です。着床するタイミングは、受精後7日後と言われています。着床する際に、出血を伴う場合があり、出血量にも個人差があります。胎盤が形成されると、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が分泌されます。通常、生理予定日頃から尿中に出てきますが、さらにその1週間後が、検査薬を使うのに良いタイミングです。  
 

まとめ

妊娠プロセスについてまとめました。妊娠に至るまで、こんなに複雑なことが起こっているんですね! 不妊症の場合、このプロセスのどこかに何らかの障害があることがほとんどのようです。不妊症への理解を深めるには、まずここの理解が不可欠ですね。



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