【妊娠と食事】細菌・ウィルスへの感染、食中毒

妊婦さんにとって、なぜ「生モノ」がよくないのかご存知ですか?「生モノ」といっても、具体的のはどのような食べ物のことなのかご存知ですか?この記事では、妊婦さんが食べるのを気をつけなければならない「生モノ」に関連する食べ物の紹介と、その理由について解説します。海鮮物やチーズなどの食品が好物の方は、そのリスクを理解して食べる必要があるので、是非最後まで読んで、参考にしてください。

 

食中毒

食中毒の原因として、細菌、ウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫など様々あり、食べてから症状が出るまでの期間やその症状、また予防方法も異なります。主な食中毒の原因は以下に示します。

  • 細菌: 腸管出血性大腸菌、腸炎ビブリオ、リステリア、カンピロバクター、サルモネラ、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌など
  • ウィルス: ノロウィルス
  • 自然毒: フグ、貝類、キノコ類、有毒植物など
  • 寄生虫: アニサキス 、トキソプラズマ、クドア
  • その他: 化学物質など
食中毒とは、腹痛・下痢・嘔吐・発熱などの症状の総称です。

    下痢や嘔吐を繰り返すことにより、腸内で増殖した細菌やウイルスが体外に排出され症状も徐々に緩和されます。下痢や嘔吐が長時間続くことで水分や電解質が体外へ排出され脱水症状を引き起こし、重症化すると死亡することもあります。

     

    妊婦が気をつけなければいけない訳

    妊娠中の女性は、自身の身体が胎児を”異物”とみなして排除してしまうのを防ぐため、通常は免疫力が低下します。そのため、妊婦の方は、妊娠前に比べて上記のような食中毒にかかりやすくなっています。

    妊婦の食中毒

    ・嘔吐や下痢をともなうので、子宮が収縮し早産や流産などお腹の赤ちゃんへの影響を与える可能性がある。
    菌の中には、胎盤を通して赤ちゃんに感染するものもあるため、特に気をつけなければならない

     

     

    具体的な食品

    食中毒の原因となる細菌やウィルスについては既に触れましたが、実際は食品を介して体内に侵入し、食中毒を起こすので、具体的な食品について触れていきたいと思います。

    具体的な食品は、あげればきりがないので、本記事では妊婦が特に避けなければならない食品について紹介します。

     

    食中毒の原因と食品(一部抜粋)
    《リステリア菌》
    未殺菌乳、ナチュラルチーズなどの乳製品(加熱殺菌していないもの)、生ハムなどの食肉加工品、パテ、スモークサーモンなどの魚介類加工品など
    冷蔵庫内でもゆっくりと増殖するので、冷蔵庫の食品も期限内に使うようにしましょう
    《ノロウィルス》
    牡蠣などの二枚貝
    《アニサキス》
    サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類

    食中毒原因菌やウィルスなどの特徴と影響

    リステリア

    リステリアは、妊婦が最も気をつけなければならないと言われている有名な食中毒原因菌です。普通の大人がリステリア菌を多く含む食品を食べても、特に何の症状も示さないことが多いのですが、免疫力が低下している妊婦の場合は、話は別です。具体的には以下の通りです。

     

    リステリア菌とは

     

    リステリア・モノサイトゲネスListeria monocytogenes

    河川水や動物の腸管内など環境中に広く分布する細菌。加熱により死滅するが、4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できる点が特徴。

    食品を冷蔵庫で保存したり、塩漬けにしても増殖するので食中毒の原因菌となる。健康な成人では非常に多くのリステリアを摂取しなければ発症しないため、賞味期限や保存方法を守っていれば、食中毒が発生するほどの菌数にはなりません
    しかし妊婦が感染すると、リステリアが胎盤や胎児へ感染し、流産や生まれた新生児に影響がでることがある。特に、妊娠後期の感染は胎児への影響が大きくなるとされています。
    【予防策】
    生野菜や果物などは食べる前によく洗う
    期限内に食べるようにする
    開封後は、期限に関わらず速やかに消費する
    冷蔵庫を過信しない
    冷凍庫で保存する
    加熱してから食べる

    ノロウィルス 

    ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、特に冬に多く発生しています。潜伏期間は24~48時間で、主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。ご存知の方も多いかと思いますが、牡蠣などの貝類が感染源として有名です。
    ノロウィルスとは

     

    ノロウィルス(Norovirus)

    ノロウイルス感染症は、ウイルスの中でも特に小さく丸い形をしているのが特徴。ノロウイルスによって引き起こされる「感染性胃腸炎」の多くは軽症に経過する疾患。ノロウイルスは、一般的には、牡蠣などの二枚貝を原因とする「食中毒」の原因ウイルスで、内部にプラス1本鎖RNAを遺伝子として持っている

    突然、吐き気や嘔吐を発症し、続いて下痢・腹痛が起こってくるのが特徴。まれに発熱を伴うこともある。症状の持続は、3日程度と短い。

    【予防策】
    抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱する
    中心部が85℃~90℃で90秒以上の加熱が望まれる
    ・とにかく清潔に保つこと

    アニサキス 

    アニサキス は、サバなどの青魚に寄生していることがあるため、食べる時は気をつけるように言われています。具体的には以下の通りです。
    アニサキスとは

     

    アニサキスAnisakis

    アニサキスは寄生虫(線虫)の一種。その幼虫は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見える。寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られている。

    アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生(不十分な冷凍又は加熱のものを含む)で食べることで、 アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こす。
    【予防策】
    ・基本、生食はしない
    ・60℃で1分以上加熱する
    ・魚を購入する際は新鮮な魚を選ぶ
    速やかに内臓を取り除く
    内臓を生で食べない
    魚を調理する際には、目視で確認して、アニサキス幼虫を除去

    まとめ

    妊娠中の女性は、食中毒にかからないように食品を選ぶ必要があります。なぜならば、妊婦は妊娠前に比べて免疫力が低下しているため、妊娠前は問題なくても、妊娠中は感染してしまうかもしれないからです。
    食中毒にかかり、嘔吐や下痢を繰り返すと子宮の収縮によって流産リスクが増加します。それだけではなく、食中毒の原因菌の中にはリステリアのように、胎盤を通って胎児に届き、大きな影響を与えてしまうものもあるので、食中毒の原因菌やウィルスなどを含む食品は避けなければなりません。



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