
妊娠中・妊活中の女性が気をつけるべき、ビタミンAの影響をご存知ですか?
この記事から分かること
- ”ビタミンA”の正体 = レチノール
- 適切な摂取量
- ビタミンAを多く含む食材
- 葉酸を含む食品との共通点
ビタミンAは胎児にとって重要な栄養素ですが、一方で過剰摂取は控えなければなりません。この記事では、具体的な影響、適切な摂取量について、その理由と共に紹介します。ビタミンAを含む食品についても最後に紹介しますので、気になる方は是非最後まで読んでください。
ビタミンAとその影響
ビタミンAは、胎児の成長に必要な栄養素です。欠乏しても、過剰摂取しても胎児に悪影響が出ます。
近代の日本における食生活を考えると、特に過剰摂取に注意する必要があります。
しばしばビタミンAは、『動物性のレチノールと植物性のβ-カロテンがある』と紹介されていますが、
ビタミンA (Vitamin A) とは、物質としては一般にレチノールを指します。β-カロテンは、体内でレチノールに変換される前駆体の1つです。
ビタミンAという単語は、生理作用を表す際に用いられます。(本記事では、混乱を避けるため、物質と活性の区別は特にしません。)
<体内でビタミンA活性を示す物質>
- レチノイド類: レチノール、レチナール、レチニルエステル
- プロビタミン A カロテノイド: β─カロテン、α─カロテン、β─クリプトキサンチンなどおよそ 50 種類
<過剰摂取>
- レチノイド類: 健康障害あり
- プロビタミン A カロテノイド: 問題なし
ビタミンA活性の計算
ビタミンA活性は、”レチノール”とその前駆体である”β-カロテン”で、体内での活性の度合いが異なります。同様に、他の物質もそれぞれ度合いが異なります。
そこで、それぞれの物質の活性度合いを補正して、一つのレチノール活性当量(RAE)と表すことで、わかりやすくビタミンAの影響を評価するのが一般的となっています。
【必要摂取量の計算】
ビタミンAの摂取基準には、レチノールだけでなくビタミンAの前駆体すべて合わせて、レチノール活性当量(RAE)として算出した値を用います。
(※1μg ; 1マイクログラム = 0.001 mg)
推奨されるビタミンAの摂取量
前述したように、適切なビタミンA摂取量は、レチノール活性当量(RAE)を用いて表されます。
以下の数字は、1日当たりの推奨摂取量を表したものです。それによると、妊娠後期と授乳期で推奨摂取量が少し違う点などがわかるかと思います。
推奨摂取量
- 18才以上の女性: 650~ 700 μgRAE/日 (男性: 850~ 900 μgRAE/日)
- 妊娠初期〜中期: 650~ 700 μgRAE/日
- 妊娠後期: 730~ 780 μgRAE/日
- 授乳婦: 1100~ 1150 μgRAE/日
ビタミンAを含む食品とその含有量
1日当たりの推奨摂取量は示してきた通りです。
そこで、どの食品をどれくらい食べると、推奨摂取量に達するのかを確認しましょう。以下に、食品に含まれるレチノールの目安を示します。
以下の数値は食品100 gあたりの含有量を示し、単位は(μgRAE/100g)です。fa-arrow-circle-down
レバー(鶏) | 14,000 |
レバー(豚) | 13,000 |
あんこうのきも | 8,300 |
うなぎ(きも) | 4,400 |
うなぎの蒲焼 | 1,500 |
ほたるいか(生) | 1,500 |
レバー(牛) | 1,100 |
フォアグラ | 1,000 |
卵黄 | 480 |
全卵 (生) | 150 |
くろまぐろ (脂身) | 270 |
アイスクリーム (高脂肪) | 100 |
葉酸を多く含む食品との共通点
ここで注意したいのが、食品からの”葉酸”摂取を意識している人たちです。
実は、”葉酸”を多く含む食材として、鶏レバーやうなぎ肝などが有名であり、ビタミンAを多く含む食材と重複している部分があります。
「葉酸が体に良い、妊娠に良い」と言われているからと言って、例えばレバーを過剰摂取すると、ビタミンAを過剰摂取してしまうことになります。
実際問題として、葉酸の過剰摂取も良くないので摂り過ぎには注意してください。
まとめ
ビタミンA活性物質を含む食品の1日あたりの推奨摂取量は、妊婦で650〜780μgRAEです。
上記の表を見れば明らかなように、鶏レバーを100 g食べると、14,000μgRAEに達してしまい、これは推奨量の約20倍です。
鰻重であれば、1人前200 g程度あると仮定すると、3,000μgRAEに達してしまい、これでも推奨量の約4倍です。
このように、ビタミンAは贅沢をすると容易に1日の必要量を摂取できてしまうので、妊娠中はビタミンAを多く含む食品をしっかり理解しておき、摂取量に注意する必要があります。