昆布ヨウ素の摂取

妊娠中の女性は、海藻関連の食品を食べ過気ない方がよいのをご存知ですか?海藻類に含まれるヨウ素が関連しているのです。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となり、胎児の発達にも必要な栄養素なので適量の摂取が必要です。この記事では、妊婦とヨウ素の関係を解説し、適切な摂取量についてまとめますので、海藻系の食品が好きな方は参考にしてください。

海藻に含まれるヨウ素

海藻の食べ過ぎがよくないのは、海藻に含まれる”ヨウ素”を摂取し過ぎてしまうからです。

ヨウ素

化学的にヨウ素は、ハロゲン元素の一つであるヨウ素の2原子分子として常温常圧で固体として存在できる物質です。
古くからヨードチンキに代表される殺菌剤やレントゲン造影剤など、身近なところで利用され、「ヨード」という別名で知られています。脊椎動物の体内でヨウ素は成長や基礎代謝をコントロールする甲状腺ホルモンの合成に使われ、人体に含まれるヨウ素の 70~80% は甲状腺に存在しています。海藻や魚介類などヨウ素を多く含んだ食品を摂取する機会の多い日本ではヨウ素が不足することはほとんど皆無です。

 

甲状腺ホルモン

役割

甲状腺”は、ノドボトケの下にあり、蝶々のような形をした臓器です。脳の下垂体から指令を受けて、新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンを分泌するのが主な働きです。

分泌された甲状腺ホルモンは、心拍数、カロリーの燃焼速度、皮膚の修復、成長、熱産生、妊孕性、消化など多くの生命活動に影響します。具体的には以下の方法で代謝速度に影響を及ぼします。

  • 体のほぼすべての組織を刺激してタンパク質を産生させる
  • 胎児において、脳、末梢組 織、骨格などの発達と成長を促進
  • 生殖、成長、発達等の生理的なプロセスを制御
  • 細胞が使用する酸素の量を増やす

このように甲状腺ホルモンは、生命活動において非常に重要な役割を身体の中で果たしています。

関連疾患

因みに、甲状腺が関係する疾患は以下のものがあります。

甲状腺が関係する疾患

  • 甲状腺機能亢進症: バセドウ病
  • 甲状腺機能低下症: 橋本病(慢性甲状腺炎)
  • 急性化膿性甲状腺炎
  • 亜急性甲状腺炎
  • 甲状腺腫瘍

 

妊娠との関係

特に、”橋本病”は妊娠を望む女性と関係のある疾患です。

橋本病

甲状腺に慢性的に炎症が起こる病気で慢性甲状腺炎とも呼ばれ、自己免疫性疾患の一つ。炎症の結果、甲状腺ホルモンのバランスが悪くなる場合がある。成人女性の約7~8人に1人が橋本病の素質をもっている。
<3種類のタイプ>
A.甲状腺ホルモンは正常(6割)
B.甲状腺ホルモン低下

C.甲状腺ホルモン過剰(一過性)

 

<症状>
B.甲状腺ホルモン低下の時
 →皮膚の乾燥、顔のむくみ、寒がり、眠気、便秘 etc.
C.甲状腺ホルモン過剰の時
 →動悸息切れ、痩せる、暑がり、多汗、イライラ、下痢軟便 etc.
<検査>
甲状腺ホルモンの分泌量を調節するために、脳から甲状腺に指令が伝わっています。この指令は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が担っています。通常は、甲状腺ホルモンが低下するとTSHは上昇して、甲状腺ホルモンを分泌させようとします。橋本病の検査では、主にTSHの測定と、甲状腺ホルモン自体の測定を行います。
<妊娠との関係>
甲状腺機能低下症は、不妊や流産、早産、妊娠高血圧症候群などのリスクになります。妊娠前から甲状腺機能を正常に保つことが重要です。妊娠すると甲状腺ホルモン必要量は約1.5倍に増えます。米国甲状腺学会ガイドライン2011では、妊娠前~妊娠初期(13週まで)はTSH<2.5μU/ml、妊娠中期(14週~)TSH<3.0μU/mlを目標値としています。

 

材料

様々な疾患に関連する甲状腺ホルモンは、それ自体をつくるのに、食べものや水に含まれるヨウ素を必要とします。甲状腺はヨウ素を取り入れて甲状腺ホルモンに加工します。甲状腺は血液中のヨウ素濃度が高くなると、甲状腺ホルモンの分泌をやや減らします。

妊娠中の女性は、妊娠前に比べて甲状腺ホルモンの必要量が1.5倍に増える。
それにも関わらず、甲状腺ホルモンの材料であるヨウ素を多く含む食品を食べてしまうと、血液中のヨウ素濃度が高くなり、甲状腺ホルモンの分泌が減ってしまう。
甲状腺ホルモン分泌量の低下は、不妊や流産、早産、妊娠高血圧症候群などのリスクになります。
橋本病などの疾患を持っている方は、そもそも甲状腺ホルモン分泌量が少ないので、より注意が必要。

ヨウ素の摂取基準量

では、どの程度のヨウ素を摂取するのが適当なのでしょうか?

ヨウ素の食事摂取基準

  • 18才以上の成人: 130 μg/日
  • 妊婦:       240 μg/日
  • 授乳婦:         270 μg/日

 

※日本人は海藻や魚介類を多く摂取する食習慣があるため、必要量に対して十分にヨウ素を摂取していると考えられます。(1,000〜3,000 μg/日)

 

【ヨウ素を含む食品と含有量(代表的な食品の抜粋)】

昆布(乾燥)   5cm角(5g)12,000 μg
昆布の佃煮    大さじ1杯(15g)1,650 μg
たら(まだら)       大1切(100g)350 μg
わかめ(水戻し) 1人前(10g)190 μg
ところてん    1人前(100g)240 μg
青海苔(乾燥)  1人前(1g)28 μg
焼き海苔     大1枚(1g)21 μg
昆布の佃煮    (5〜10 g)10,000〜20,000 μg
昆布巻き          (3〜10 g)6,000〜20,000 μg
ひじき      (5〜7 g)1,500〜2,000 μg
昆布だし          (0.5〜1 g)1,000〜3,000 μg
寒天       (1 g)180 μg
わかめの吸い物  (1〜2 g)80〜150 μg

環境省

 

詳細が知りたい方は、上記リンク先の伊藤病院さんのホームページを参照ください。非常に分かりやすくまとまっています。

簡単なシミュレーション

ヨウ素の推奨摂取量(妊婦) = 240 μg/日
昆布だしを使った料理 1,000 μg > 240 μg/日
ひじき料理        1,500 μg > 240 μg/日
 

海藻は海藻でも、ひじきは…

「ひじき」に関してはヨウ素以外の問題もあるので摂取を気をつけましょう。
ひじき
ひじきには、人体に有害で発がんリスクのある「無機ヒ素」が多く含まれていることが懸念されています。
ただし、「毎日4.7g(乾燥時)以上もの大量のひじきを継続的に摂取しないかぎり問題ない」と厚生労働省は発表しています。
ひじきには、ヨウ素も豊富に含まれていますが、その他の栄養素(鉄分、ミネラルetc.)も含まれているので、過剰摂取しなければ問題ありません。

まとめ

妊婦がヨウ素を摂り過ぎると、胎児に悪影響が及ぶ可能性があります。そのため、ヨウ素を多く含む海藻類の摂取量には気をつける必要があります。
しかし、ヨウ素は胎児の発育にも必要な栄養素なので、摂取量が不足するのはよくありません。海藻類が好きな人や毎日食べている人は、妊娠時に食べる量を減らすように気をつける必要がありますが、全く食べないのもよくないので、上記の適量を意識して摂取するようにするべきだと思います。



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