
妊娠中のタバコが、胎児にどのような影響を及ぼすかご存知ですか?妊活中の喫煙が妊娠確率に影響するのでしょうか?
この記事では、妊活中・妊娠中のタバコの喫煙が及ぼす影響や適切な摂取量について紹介します。自分自身が喫煙しなくても、副流煙の影響も考える必要があるので、家族にタバコを吸う人がいれば、その注意点についてまとめますので、是非最後まで読んでいってください。
内容の多くは、私見ではなく厚生労働省の資料に基づいて紹介します。
目次(ジャンプできます)
タバコの健康影響(一般)
日本人の年間死亡者は,能動喫煙によって約 13 万人,受動喫煙によって約 1 万 5 千人(肺がん,虚血性心疾患,および脳卒中による 死亡)と推計されている。
《タバコの煙の中に含まれる物質》
《健康被害》
以下は、喫煙との因果関係を推定するのに十分と考えられている疾患です。
無煙たばこ・電子たばこ・加熱式たばこについて
近年、加熱式たばこや電子たばこなどの新しい製品が市場に流通するようになっ てきました。
無煙たばこ
鼻や口に直接たばこをふくんで味・香りを愉しむ、煙の出ないたばこです。大きく分けて「嗅ぎたばこ」と「噛みたばこ」の2種類があります。
無煙たばこの健康影響に関する研究は、ほとんどが海外のものであるが、日本人について国外の評価と異なる判定をする積極的な根拠はないことから、無煙たばこ(かぎたばこ)と発がんとの因果関係を推定するのに十分であるとされている。
電子たばこ
たばこ葉を使用せず、装置内もしくは専用カートリッジ内の液体(リキッド)を電気加熱させ、発生する蒸気(ベイパー)を愉しむ製品です。リキッドには、ニコチンを含むものもありますが、日本国内では、ニコチンを含まないものが一般的です。
特徴としては、リキットと呼ばれるものを使用する点であり、その中にはニコチンやタール含まれていません。また、リキットを蒸発させてできる水蒸気を吸いこむので、大量の水蒸気が出る点が特徴です。
電子たばこの使用と疾病の関連性に関する科学的証拠が入手できるまでには時間を要し、電子たばこへの曝露と疾病および死亡リスクとの関連について現時点では明らかでない。
加熱式たばこ
ライターではなく電子機器によって火をつける仕組みです。電子たばこと異なるのは、加熱するのがたばこ葉である、という点です。つまり、加熱式タバコは電子機器でたばこ葉を燃やして、発生する煙を楽しむ「たばこ製品」です。 火よりも低温でたばこ葉を加熱するため、普通の紙巻きタバコよりも発生する煙やにおいは軽減されています。しかし、ニコチンやタールは含まれるため、加熱式タバコ特有のにおいが発生し、紙巻きタバコと同じ健康への影響もあります。
電子たばこと異なる特徴は、タバコの葉を使用する点、煙が少量である点です。そのため、ニコチンは残っていますが、火を使うよりも低温で加熱するのでタールの発生を抑えることができる点が特徴です。しかし、その他の化学物質については、どのような物が出ているのかわからない点が多いです。
加熱式たばこの使用と疾病の関連性に関する科学的証拠が入手できるまでには時間を要し、加熱式たばこへの曝露と疾病および死亡リスクとの関連について現時点では明らかでない。
受動喫煙の健康影響
所謂、副流煙の影響については、既に健康に影響することが報告されています。
受動喫煙との因果関係を推定するのに十分と考えられている疾患は以下の通りです。
妊婦への影響
能動喫煙
妊婦の能動喫煙(妊婦がたばこを吸うこと)による、早産、低出生体重・胎児発育遅延との因果関係についての科学的証拠は十分であるとされている。
一方で、子癇前症・妊娠高血圧症候群(PIH)のリスク減少との因果関係については、十分な科学的証拠が無い状況です。
受動喫煙
科学的証拠が十分ではありませんが、子宮内胎児発育遅延、出生体重の減少(低出生体重児)との因果関係が示唆されるとの報告があります。
妊活中の女性への影響
妊活中の女性が喫煙する場合、科学的証拠が十分にあると言うわけではありませんが、因果関係が示唆されている影響は以下の通りです。
子宮外妊娠
常位胎盤早期剥離
前置胎盤
まとめ
妊娠中の女性に限らず、妊活中の女性も喫煙は避けた方が良いのは明らかです。ヘビースモーカーの方はなかなかたばこを絶てないと思いますので、電子たばこのようにニコチン・タールの出ないたばこを吸う選択肢もあるかと思いますが、健康への影響についてはまだ明らかになっていないので、慎重に行動すべきだと思います。
また、副流煙の受動喫煙については、十分な科学的証拠があると言えるレベルで健康被害があるので、妊娠中の女性の近くや同じ屋内で喫煙するのは避けなければなりません。
いづれにしても、まだまだ分からないことも多いようなので、妊活中〜出産〜育児期の喫煙は十分に注意してください。